Introduction

“タタキ”稼業を繰り返して、最底辺から日の当たる場所へ。3人の少年の再起をかけたリアル・ガチ・サバイバル!新時代のアウトローたちによる青春エンターテインメント!

原作は、漫画・肥谷圭介×ストーリー共同制作・鈴木大介による「ギャングース」。犯罪少年たちの実情を綴った鈴木大介氏の衝撃のルポルタージュをもとにしたリアルなストーリーラインと、個性豊かな登場人物、“タタキ”仕事のエンターテインメント性溢れる描写が評判を呼び人気となった。

高杉真宙、加藤諒、渡辺大知をトリプル主演にむかえ、身も心も社会の最底辺を生きる犯罪少年となった3人が息の合った掛け合い、抜群のコンビネーションで魅せる。そして脇を固める超個性派キャストたちが3人と時に死闘を繰り広げ、時に感動的なドラマを織り成していく。

監督には『22年目の告白-私が殺人犯です-』『ビジランテ』など社会の底辺を生きる人々の映画やクライム・ムービーには定評のある入江悠。原作の魅力をしっかりと受け継ぎつつ、主人公の少年たちの友情と成長、再起への想いをより際立たせ、痛みだけではなく、躍動感、爽快感も伝える王道の青春エンターテインメントに仕立て上げている。

Story

親から虐待され、ろくに学校にも行けず、青春期を少年院で過ごしたサイケ(高杉真宙)・カズキ(加藤諒)・タケオ(渡辺大知)。社会に見放された3人が生き抜くためにつかんだ仕事は、犯罪者だけをターゲットにした“タタキ”(窃盗、強盗)稼業。そんなある日、タタキの最中に偶然にも振り込め詐欺アガリ(収益金)の隠し場所を知ることとなった3人。それは“半グレ”系アウトローによる犯罪営利組織カンパニーとして台頭する「六龍天」のものだった。「六龍天」に身元がバレないよう、慎重にタタキを繰り返すも、あるきっかけから3人の身元が「六龍天」に知られ、絶体絶命の状況に追い込まれてしまうが・・・

  • 【カンパニー】
    半グレ系アウトローの人間で構成された、犯罪営利集団。営利を目的としている組織体制の為、仁義や体裁を重んじるヤクザとはその根本が異なる。
  • 【タタキ】
    窃盗、強盗の隠語。
  • 【ハリ】
    見張り役のこと。
  • 【受け子】
    騙された被害者に直接会い、金を受け取る担当のこと。
  • 【半グレ】
    暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す集団のこと。「グレる」、白(堅気)でも黒(ヤクザ)でもない「グレー」などを語源とする。
  • 【年少】
    少年院のこと。
  • 【発発(はつはつ)】
    発動発電機の略。
  • 【テンプラ】
    盗用ナンバープレートなどカモフラージュに使用する道具の隠語。中身と実態がことなることから。
  • 【番頭】
    カンパニーのオーナーのもとで詐欺店舗を統括する存在。
  • 【プレイヤー(掛け子)】
    振り込め詐欺のシナリオをもとに電話をかけて金を要求する担当のこと。

Cast

相関図

高杉真宙

1996年生まれ。福岡県出身。2009年、俳優デビュー。『仮面ライダー鎧武/ガイム』(14)、映画『渇き。』(14/中島哲也監督)に出演し注目を集める。17年は『PとJK』(廣木隆一監督)、『ReLIFE リライフ』(古澤健監督)、『逆光の頃』(小林啓一監督)、『散歩する侵略者』(黒沢清監督)など6本の映画に出演し、第9回TAMA映画賞最優秀新進男優賞、第72回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。18年は『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』(篠原哲雄監督)、『世界でいちばん長い写真』(草野翔吾監督)、『虹色デイズ』(飯塚健監督)、『君が君で君だ』(松居大悟監督)が公開。劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」(9/1公開)では、主人公の少年・僕役で声優に初挑戦している。また「新感線☆RS『メタルマクベス』disc3」(2018/11/9~2018/12/31・IHIステージアラウンド東京)の公演が控えている。

高杉真宙

加藤諒

1990年生まれ。静岡県出身。10歳のころ「あっぱれさんま大先生」(フジテレビ系)に出演しテレビデビュー。近年では、ドラマ「風雲児たち」「アシガール」「真田丸」(NHK)、「僕たちがやりました」(フジテレビ系)、「東京タラレバ娘」「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系)や映画『火花』(17/板尾創路監督)、『金メダル男』(16/内村光良監督)、舞台「人間風車」「パタリロ!」、CM「アフラック~不老不死の男編~」など個性派俳優として幅広く活躍する一方、バラエティ番組にも多数出演。NHK Eテレ「で~きた」「俳句さく咲く」「ふしぎエンドレス 理科5年」、SBS静岡放送「イブアイしずおかエンタ」、日曜ドラマ「ゼロ 一攫千金ゲーム」(日本テレビ系)にレギュラー出演中。また、『PRINCE OF LEGEND』(19年/河合勇人・守屋健太郎監督)の公開が控えている。

加藤諒

渡辺大知

1990年生まれ。兵庫県出身。2007年にロックバンド「黒猫チェルシー」を結成し、ボーカルを担当。映画『色即ぜねれいしょん』(09/田口トモロヲ監督)の主演で俳優デビューし、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。NHK連続テレビ小説「カーネーション」(11)、「まれ」(15)、TBSドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」(16)等にも出演、14年には初監督作『モーターズ』でPFFアワード審査員特別賞を受賞、初舞台「男子!レッツラゴン」(15/作・演出:細川徹)で主演を務めるなど、ミュージシャン・俳優・映画監督と活躍の幅を広げている。主な出演作に、映画『くちびるに歌を』(15/三木孝浩監督)、『勝手にふるえてろ』(17/大九明子監督)など。公開待機作に、『寝ても覚めても』(9/1公開/濱口竜介監督)、『ここは退屈迎えに来て』(10/19公開/廣木隆一監督)、『体操しようよ』(11/9公開/菊地健雄監督)がある。また木ドラ25「恋のツキ」(テレビ東京)に出演中。

渡辺大知

林遣都

1990年生まれ。滋賀県出身。07年に『バッテリー』(滝田洋二郎監督)の主演で俳優デビュー。同作品での演技が評価され日本アカデミー賞など、その年の多くの新人賞を受賞。その後も映画、ドラマで主演作を含め数々の作品に出演する。主な出演作に、『パレード』(10/行定勲監督)、『荒川アンダー ザ ブリッジTHE MOVIE』(12/飯塚健監督)、『僕だけがいない街』(16/平川雄一郎監督)、『にがくてあまい』(16/草野翔吾監督)、『花芯』(16/安藤尋監督)、『しゃぼん玉』(17/東伸児監督)、『HiGH&LOW』シリーズ(16&17)、ドラマ「火花」(17/Netflix・NHK総合)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17/廣木隆一監督)、『チェリーボーイズ』(18/西海謙一郎監督)、『野球部員、演劇の舞台に立つ!』(中山節夫監督)など。公開待機作に、『コーヒーが冷めないうちに』(9/21/塚原あゆ子監督)がある。

林遣都

伊東 蒼

2005年生まれ。大阪府出身。多彩な子役タレントを輩出するジョビィキッズ所属。主な出演作は『貞子3D 2』(13/英勉監督)、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16/中野量太監督)、『島々清しゃ』(16/新藤風監督)主演、『花戦さ』(17/篠原哲雄監督)、『望郷』(17/菊地健雄監督)ほか、ドラマなどにも多数出演。『湯を沸かすほどの熱い愛』では第31回高崎映画祭最優秀新人女優賞、『島々清しゃ』では第72回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。

伊東 蒼

山本舞香

1997年生まれ。鳥取県出身。2011年、第14代「三井のリハウスガール」に選ばれ、その後「それでも、生きてゆく」(CX)で女優デビュー。主な映画出演作に『暗殺教室』シリーズ(15・16/羽住英一郎監督)、『殿、利息でござる!』(16/中村義洋監督)、『桜ノ雨』(16/ウエダアツシ監督)、『ひるなかの流星』(17/新城毅彦監督)、『ブルーハーツが聴こえる』(17/井口昇監督)、『未成年だけどコドモじゃない』(17/英勉監督)、『恋は雨上がりのように』(18/永井聡監督)など。公開待機作に、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(8/31/大根仁監督)がある。また、現在放送中のドラマ「チア☆ダン」(TBS)に出演中。

山本舞香

金子ノブアキ

1981年生まれ。東京都出身。ロックバンドRIZEのドラマーだけでなく、ソロアーティストとしても活躍中。『blank13』(18/齊藤工監督)の音楽監督や「enra」舞台音楽を手掛けるなど活動の幅を広げ、俳優としても数々映画やドラマに出演している。主な映画出演作に、『クローズZEROⅡ』 (09/三池崇史監督)、『モテキ』 (11/大根仁監督)、『白ゆき姫殺人事件』 (14/中村義洋監督)、『東京無国籍少女』 (15/押井守監督)、『新宿スワン』『新宿スワンⅡ』(15・17/園子温監督)など。

金子ノブアキ

篠田麻里子

1986年生まれ。福岡県出身。2006年から2013年までアイドルグループAKB48に所属。グループ在籍時から女性誌「MORE」の専属モデルを10年間務め、アイドルとモデルを両立しながらも同世代の女性から絶大な人気を集めた。連続テレビドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」(11)で月9に初出演、『犬とあなたの物語 いぬのえいが』(11)で映画初出演。グループ卒業後は女優活動を本格化。ドラマ・映画・舞台にと幅広く活躍中。主な映画出演作に『リアル鬼ごっこ』(15/園子温監督)、『テラフォーマーズ』(16/三池崇史監督)、『RE:BORN』(17/下村勇二監督)、『ビジランテ』(17/入江悠監督)など。

篠田麻里子

MIYAVI

1981年生まれ。大阪府出身。“サムライ・ギタリスト”の異名を持つミュージシャン。ピックを使わずすべて指で弾くという独自のスタイルで世界中から注目を集め、これまでに約30カ国でのライブ、7度のワールドツアーを成功させる。また、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15/クリストファー・マッカリー監督)の日本版テーマソング、『無限の住人』(17/三池崇史監督)の主題歌を担当するなど、国内外から高い評価を受けている。俳優としては、14年に『不屈の男 アンブロークン』(アンジェリーナ・ジョリー監督)でハリウッドデビューを果たす。主な出演作に、『キングコング:髑髏島の巨神』(17/ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督)、『ストレイ(原題)/Stray』(17/ジョー・シル監督)、『BLEACH』(18/佐藤信介監督)など。

MIYAVI

Staff

監督・脚本:入江悠

1979年、神奈川県生まれ、埼玉県育ち。03年、日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。自主制作による『SR サイタマノラッパー』(09)が大きな話題を呼び、ゆうばり国際ファンタスティック映画オフシアター・コンペティション部門グランプリ、第50回映画監督協会新人賞など多数受賞。その後、同シリーズ『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10) 、『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)を制作。『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(11) で高崎映画祭新進監督賞受賞。その他に、『日々ロック』(14)、『ジョーカー・ゲーム』(15)、『太陽』(16) 、『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17)、『ビジランテ』(17)など話題作を次々と手掛けている。

Original

「家のない少年たち」――少年院で相部屋だった4人組は、みな親と社会に棄てられた少年たち。殴り合うことで心を通わせ、出所後も一緒に生きようと決めた4人が選んだのは犯罪だった。地縁も血縁もなく、社会の”被害者”である少年たちは、なぜ犯罪者になるのか?そして孤独の中で何を思うのか?――犯罪少年のリアルを抉った衝撃のルポルタージュ「家のない少年たち」に描かれたエピソードやディティールが、そのまま、ときにより強調してフィクションとして再構成されているのが原作漫画「ギャングース」。

ストーリー担当の鈴木氏と担当編集が無尽蔵の取材ソースから綿密なストーリーラインを引き、漫画担当の肥谷氏が重いテーマの物語を躍動的に演出し漫画化することで、リアリティを保持しつつ面白いものを探っていったといいます。鈴木氏の“本質的なエピソード/メッセージ”と、肥谷氏の“エンターテインメント性のあるストーリー/キャラクター”が拮抗し、かつてないインパクトをもった“実話を元にした超実証主義漫画”が生まれたのです。

2013年の連載開始以降、「モーニング」誌上で高い人気を誇り、読者アンケートでは常にベスト5をキープし続けました。2017年新春ついに完結。2017年4月23日に最終巻である第16巻が発売されました。

漫画:肥谷圭介

「DAYS」でヤングアニマルまんが賞準入選・デビュー。「その子の笑顔が世界を救う」で第29回MANGA OPEN山田芳裕賞受賞。「ギャングース」は受賞後第1作目。コミックDAYS「マーダーボール」連載中。

comment

最初「家のない少年たち」を読んだときに、この映画が観たいと思いました。なので映画化を知ったときは、ただただ楽しみでした。そして映画は、よく冷めてると言われる僕でも何度もグッとくるシーンが沢山ありました。最高でした。続編が観たいです。

ストーリー共同制作:鈴木大介

文筆業。犯罪の加害者取材を軸に、女性や子ども、若者の貧困問題を掘り下げてきた取材記者。著書に「最貧困女子」(幻冬舎)、「家のない少女たち」、「援デリの少女たち」(宝島社)、「ギャングースファイル・家のない少年たち」(講談社)、「最貧困シングルマザー」(朝日新聞出版)、「脳が壊れた」(新潮新書)、「されど愛しきお妻様」(講談社)など。

comment

ギャングースは連載開始当時から発言しているように、一度たりとも「防犯情報コンテンツ」として書いたつもりはなく、一貫して子どもや若者の貧困問題とアウトローの世界を「イコールで絡めて」描いた作品でした。

サラッと表面だけ舐めれば、犯罪の現場にいる加害者を真正面から肯定しているようにしている作品。映画という、より多くの人がエンタメとして観て、より多くの人が携わる大きな経済活動であるパッケージで、正直どこまでストレートに原作漫画のメッセージを打ち出した作品ができるのだろうと思っていたのですが。

初号試写を観させて頂いて……内容は想像を超えた直球そのもので、驚きました。

入江悠監督に、入江組の、主演のお三方や助演のみなさん、そして多くの協力して下さった人たちに、まず僕の思いを共有してもらえたんだなと、そう思える作品になっていました。

感無量です。

正直、こんな攻めてもらえるとは思わなかったので、ちょっと感想の言葉より溜息や涙しか出ない仕上がり。

ほんとうにほんとうに、携わって下さった全ての方々に、お礼を申し上げたい気持ちで一杯です。 「彼ら」を、見たそのまま活写するだけでは、単なる差別や攻撃の助長にすらなりかねない。でもそんな彼ら彼女らの生きるリアルを分かって欲しい。その一念で、ノンフィクション作品にできる限り物語的な表現を持ち込んで来た僕の著作です。そしてその結果として漫画や映画の展開まで辿り着いたのがギャングースでした。

僕は取材記者でしたから、当然僕が描く人物のベースには、全て取材対象だった実在の子たちがあって、それがどんな表現に落とし込まれても、彼らは今もこの世で僕らと同じ空気を吸いながら生きています。

加害者。不良。非行、触法。そんな肩書きがつく子たちの多くが「元被害者」の過去を持ち、そんな彼らにも生きる権利がある。ぎらつく青春があり、悩ましい人生がある。世の中から白い目で見られる存在になったかも知れないけど、そこに辿り着くまでの重い人生の背景がある。

不良であると同時に、彼らは同じ飯を食ってうめーって言い合えるし子たちだし、同じ理不尽に怒ることもできるし、同じギャグに笑い、同じ不安や期待を共有できる子たちでした。

そんな僕の思いを、入江監督が受け止めてくれて、凄い数の人たちが、きちんと形にしてくれた。ヤバい。改めて感謝です。ありがとうございました。